SCAMPER法とは?7つの視点でアイデアを生み出す発想法

SCAMPER法とは?7つの視点でアイデアを生み出す発想法 ビジネススキル

ー この記事の要旨 ー

  1. SCAMPER法とは、代替・結合・応用・修正・転用・削除・逆転の7つの視点から問いを立て、アイデアを体系的に生み出す発想フレームワークです。 
  2. 本記事では、各視点の具体的な質問例とビジネスでの活用場面、実践ステップに加え、成果を出すコツや陥りやすい失敗パターン、他の発想法との使い分けまでを解説しています。 
  3. SCAMPER法を日常業務に取り入れることで、既存の製品・サービスの改善から新規事業のアイデア出しまで、発想の幅を着実に広げられます。

SCAMPER法とは|7つの視点で発想を広げるフレームワーク

SCAMPER法とは、7つの切り口から問いを立てることで既存のアイデアや製品を多角的に見直し、新たな発想を引き出すフレームワークです。

「来月の企画会議までに新しい提案を3つ出して」と上司に言われたものの、何時間考えてもアイデアが浮かばない。白紙のノートを前に手が止まる。こうした経験があるなら、SCAMPER法の出番です。思いつきに頼らず、決まった視点で問いを立てるだけで発想の糸口が見つかります。

本記事では、SCAMPER法の7つの視点と質問例、ビジネスでの活用場面と実践ステップを解説します。ブレインストーミングの基本や進め方については、関連記事『ブレインストーミングとは?』で詳しく解説しています。

SCAMPER法の定義と成り立ち

SCAMPERとは、Substitute(代替)、Combine(結合)、Adapt(応用)、Modify(修正)、Put to other uses(転用)、Eliminate(削除)、Rearrange/Reverse(再配置・逆転)の頭文字をとったものです。

もともとは、ブレインストーミングの考案者として知られるアレックス・オズボーンが提唱した「オズボーンのチェックリスト」がベースになっています。このチェックリストを教育者のボブ・エバールが7つの視点に再編し、覚えやすい「SCAMPER」という形にまとめました。質問形式で思考を促す仕組みのため、発想に慣れていない人でも取り組みやすいのが特徴です。

7つの頭文字が意味すること

7つの視点はそれぞれ異なる角度から「今あるもの」を揺さぶる役割を持っています。

  • S(Substitute/代替): 何かを別のものに置き換えられないか
  • C(Combine/結合): 複数の要素を組み合わせられないか
  • A(Adapt/応用): 他の分野のアイデアを取り入れられないか
  • M(Modify/修正): 形・サイズ・色などを変えられないか
  • P(Put to other uses/転用): 別の用途や別の顧客層に使えないか
  • E(Eliminate/削除): 不要な要素を取り除けないか
  • R(Rearrange・Reverse/再配置・逆転): 順序や構造をひっくり返せないか

注目すべきは、この7つが「足す」「引く」「入れ替える」「組み合わせる」「視点を変える」といった異なるベクトルを網羅している点です。1つの視点で行き詰まっても、別の視点に切り替えるだけで思考の方向が変わります。

SCAMPER法の各視点と質問例

SCAMPER法を使うときに欠かせないのが、各視点ごとの「問い」です。ここでは7つの視点を3グループに分け、実務で使いやすい質問例をセットで紹介します。

Substitute(代替)・Combine(結合)

Substitute(代替) は「今使っている素材・プロセス・人材を、別のものに置き換えたらどうなるか」と問う視点です。たとえば「対面研修をeラーニングに置き換えたら移動コストはどう変わるか」「紙の申請書をデジタルフォームに替えたら処理時間は何分短縮できるか」といった問いが該当します。

Combine(結合) は、異なる要素を掛け合わせる発想です。「営業資料と顧客事例集を1つにまとめたら商談の質はどう変わるか」「社内SNSとナレッジベースを統合したら情報共有の速度はどうなるか」。組み合わせ効果やシナジーを狙う場面で力を発揮します。

Adapt(応用)・Modify(修正)

Adapt(応用)では、他業界や他分野の成功パターンを自分の領域に当てはめます。「サブスクリプションモデルを社内教育に取り入れたらどうなるか」「飲食店の予約管理システムを会議室予約に転用できないか」など、アナロジー思考との相性がよい視点です。

一方、Modify(修正)は既存の要素の「量・形・順序」を変える切り口。「提案書のページ数を半分にしたら伝わり方は変わるか」「週次報告のフォーマットを図表中心に変えたらどうか」。大きな変革ではなく微調整から改善を狙えるため、実務での実行ハードルが低い点が強みです。

Put to other uses(転用)・Eliminate(削除)・Rearrange/Reverse(再配置・逆転)

Put to other uses(転用) は、既存の製品・サービスをまったく別の用途で使う発想です。「社内向けFAQデータベースを、顧客向けセルフサービスポータルに転用できないか」という問いが好例でしょう。

Eliminate(削除) は、引き算の思考。「承認フローの3段階のうち1つを省いても品質は保てるか」「報告書から定型の挨拶文を外したらどうなるか」。シンプル化を追求する視点であり、業務改善の文脈で特に威力を発揮します。

Rearrange/Reverse(再配置・逆転) は順番や立場を入れ替える問いです。「顧客に先に価格を提示してもらう形にしたら交渉はどう変わるか」「プロジェクトの最終工程から逆算してスケジュールを組み直したらどうか」。固定観念の打破につながりやすく、行き詰まった議論を動かすきっかけになります。

SCAMPER法をビジネスで活用する場面

「改善案を出してほしい」と頼まれたのに、切り口が見つからない。こうした場面でSCAMPER法は特に力を発揮します。成果が出やすい代表的な場面を2つ紹介します。

既存の製品・サービスを改善したいとき

ある法人向けクラウドストレージサービスを運営するチームで、解約率の上昇が課題になっていたとします。ここでSCAMPER法を適用すると、次のような問いが生まれます。

Substitute:ファイル共有機能をリアルタイム共同編集に置き換えたら離脱は減るか。Eliminate:使われていないレポート機能を外して料金を下げたらどうか。Combine:プロジェクト管理ツールとの統合機能を追加したら顧客の利便性はどう変わるか。

このように、1つのサービスに対して複数の改善仮説を短時間で洗い出せるのがSCAMPER法の強みです。

※本事例はSCAMPER法の活用イメージを示すための想定シナリオです。

実は、SCAMPER法は「ゼロから何かを生む」よりも「今あるものを変える」場面で本領を発揮します。既存のプロセスや商品が明確に存在していれば、7つの視点がそのまま改善の切り口になるからです。

新規事業のアイデアを広げたいとき

新規事業の立ち上げフェーズでは、アイデアの「量」がまず求められます。SCAMPER法を使えば、1つのテーマから少なくとも7方向にアイデアを展開でき、短時間で選択肢を増やせます。

たとえばITエンジニアが社内のDevOps環境構築の知見をもとに外部向けコンサルサービスを企画する場合、Put to other uses(転用)の視点が起点になります。さらにAdapt(応用)で他業界のDX支援モデルを参考にする、Combine(結合)でAWS認定資格の取得支援サービスと組み合わせるなど、掛け合わせで事業アイデアが膨らみます。

SCAMPER法の実践ステップ|4つの手順

SCAMPER法を成果につなげるには、テーマ設定からアイデア評価までの一連の流れを押さえることがカギです。以下の4ステップで進めると、散らかりがちな発想プロセスに秩序が生まれます。

テーマの設定と現状の整理

最初に取り組むのは「何について発想するか」を1文で定義することです。「売上を伸ばしたい」では広すぎて問いが拡散します。「法人向けプランの解約率を3か月で2ポイント下げるためのサービス改善案」のように、対象・指標・期間を絞り込んでください。

ここが落とし穴で、テーマが曖昧なまま7つの視点を回すと、出てくるアイデアもぼんやりしたものになりがちです。現状の課題や数値データを事前に整理しておくと、各視点からの問いが格段に具体的になります。

7つの視点で問いを立てる

テーマが決まったら、S→C→A→M→P→E→Rの順に問いを書き出します。1つの視点につき2〜3個の問いを目安にすると、合計で14〜21個のアイデアの種が集まります。

ポイントは、この段階では「実現可能性」を一切考えないこと。発散思考(アイデアを広げるフェーズ)と収束思考(絞り込むフェーズ)を分けるのが鉄則です。「こんなの無理だ」と感じるアイデアでも、まずは書き出すことが大切です。

チームで取り組む場合は、付箋やオンラインホワイトボード(MiroやFigJamなど)を使い、1人あたり5分×7視点の時間を区切ると効率的に進みます。ファシリテーターが「次はEliminate(削除)の視点で考えてみてください」と声をかけるだけで、思考の方向が自然に切り替わります。

出てきたアイデアを評価・選別する

発散フェーズで出たアイデアをそのまま全部実行に移すわけにはいきません。ここからは収束思考に切り替え、フィジビリティ(実現可能性)・市場性・独自性の3軸で評価します。

具体的には、各アイデアを「実現可能性:高・中・低」「インパクト:高・中・低」の2軸でマッピングするのが実務では一般的です。「実現可能性:高 × インパクト:高」のゾーンに入ったアイデアから優先的に検討を進めてみてください。

プロトタイプと検証に移す

評価の結果、有望なアイデアが絞り込めたら、小さく試すフェーズに進みます。正直なところ、SCAMPER法で出たアイデアがすべて成功するわけではありません。だからこそ、MVP(Minimum Viable Product:最小限の機能を持つ試作品)で素早く検証するアプローチが欠かせないのです。

たとえばサービス改善のアイデアであれば、既存顧客10社に改善案のモックアップを見せてフィードバックをもらう。業務プロセスの変更であれば、1チームだけで2週間試行する。こうした小規模な検証で手応えを確認してから本格展開に移すと、リスクを抑えながら成果に近づけます。

業界・職種別のSCAMPER法活用例

営業、企画、エンジニアリング、バックオフィス。どの部門でもSCAMPER法は応用できるのか。結論から言えば、改善対象が明確であればフィールドを選びません。ここでは2つの部門での活用イメージを紹介します。

バックオフィス部門での活用

経理部門で「月次決算の締め日を2日前倒ししたい」という課題を抱えていたケースを考えてみます。Substitute(代替)の視点で手入力作業をRPAに置き換える案が浮かび、Eliminate(削除)で形骸化した二重チェック工程を1つ省く案も出てきました。Rearrange(再配置)では、部門間の資料提出順序を入れ替えることで待ち時間を削減するアイデアが生まれています。

簿記2級レベルの業務知識があれば、各視点の問いを勘定科目や仕訳プロセスに落とし込めるため、より実行可能性の高いアイデアにつなげやすくなります。

IT・エンジニアリング部門での活用

見落としがちですが、SCAMPER法はプロダクト開発だけでなく、開発プロセス自体の改善にも使えます。

たとえばスクラム開発を導入しているチームが、スプリントレビューの質を上げたいとします。Adapt(応用)でデザインレビューの手法を取り入れる、Modify(修正)でレビュー時間を30分から15分に短縮して頻度を週2回に変える、Combine(結合)でレトロスペクティブと統合する。こうした問いを立てるだけで、改善の方向性が複数見えてきます。GA4のデータを根拠に改善効果を測定すれば、次のスプリントに向けた説得力のある提案になるでしょう。

SCAMPER法で成果を出すコツと陥りやすい失敗パターン

せっかくSCAMPER法を試したのに「ありきたりなアイデアしか出なかった」という声は少なくありません。質の高いアイデアを生み出すコツは、問いの具体度を上げること、視点を偏らせないこと、発散と収束を明確に分けることの3点です。

成果を出すための3つのコツ

問いの具体度を上げる。 「何か代替できないか」ではなく「受付業務の電話対応をチャットボットに置き換えたら顧客満足度はどう変わるか」のように、対象と指標を含んだ問いにすると、実行可能なアイデアが出やすくなります。

7つの視点を均等に回す。 多くの場合、得意な視点(CombineやModifyなど)に偏りがちです。苦手な視点にこそ意外な発見が眠っています。1視点あたりの持ち時間を同じにすると、バランスよくアイデアを広げられます。

発散と収束を同時にやらない。 アイデアを出しながら「それは現実的じゃない」と批判が入ると、発想のスピードが一気に落ちます。ワークショップ形式で実施する場合は、「最初の35分は発散のみ、残り25分で評価」とタイムボックスを設定するのがおすすめです。

陥りやすい失敗パターン

あるメーカーの企画会議で「イノベーションを起こそう」をテーマにSCAMPER法を試したところ、出てきたアイデアが「既存商品の色を変える」「パッケージを小さくする」といった表面的なものばかりだった。こうした結果になる原因は、テーマの抽象度が高すぎることにあります。対象を具体的な製品・サービス・プロセスに絞り込むだけで、問いの質が大きく変わります。

※本事例はSCAMPER法の活用イメージを示すための想定シナリオです。

もう1つ多いのが、7つの視点を「順番にこなす作業」として捉えてしまうパターンです。チェックリストを埋めることが目的化すると、形式的な問いしか出てきません。大切なのは、各視点を「思考のスイッチ」として使い、自由に連想を広げる姿勢です。

さらに、出たアイデアを評価せずに放置するケースも散見されます。せっかく21個のアイデアが出ても、優先順位をつけなければ「結局どれをやるの?」で終わってしまいます。発想セッションの後に必ず評価の時間を確保してみてください。

よくある質問(FAQ)

SCAMPER法とオズボーンのチェックリストの違いは?

SCAMPER法はオズボーンのチェックリストを7項目に再編したものです。

オズボーンのチェックリストは9つの視点(転用・応用・変更・拡大・縮小・代用・再配置・逆転・結合)で構成されており、項目が多い分だけ網羅性が高い一方、覚えにくいという声もあります。

ボブ・エバールがこれを7つに集約し記憶しやすくしたのがSCAMPER法で、ワークショップなどで手軽に使いたい場面に向いています。

SCAMPER法はどんな場面で使うと成果が出やすい?

既存の製品・サービス・業務プロセスの改善場面で最も成果が出やすい手法です。

「何もないところからゼロイチで生み出す」よりも、「今あるものを別の角度から見直す」ことに強みがあります。

商品改良、業務フロー見直し、サービスのリニューアル企画などが代表的な活用シーンです。

SCAMPER法は一人でも使える?

一人でも問題なく活用でき、むしろ個人ワークとの相性がよい手法です。

チームでのワークショップが注目されがちですが、7つの視点に沿って問いを書き出す作業は個人の集中した時間に適しています。

ノートやスプレッドシートに7行の欄を作り、各視点で2〜3個ずつ問いを書き出すだけで、短時間で14個以上のアイデアの種が集まります。

SCAMPER法とデザイン思考はどう組み合わせる?

デザイン思考の「アイデア創出」フェーズにSCAMPER法を組み込む方法が実践的です。

デザイン思考は共感→問題定義→アイデア創出→プロトタイプ→テストの5段階で進みますが、アイデア創出の段階で発想が止まるケースは少なくありません。

そこにSCAMPER法の7つの視点を持ち込むと、問いの型が決まっているため発想が空転しにくく、質と量の両方を確保しやすくなります。創造的思考力の全体像については、関連記事『クリエイティブシンキングとは?』も参考にしてみてください。

SCAMPER法でアイデアが出ないときはどうする?

テーマの抽象度を下げて、対象を具体的な製品や工程に絞り直すことが最初の対処法です。

「新しいサービスを考える」ではなく「月額プランの解約率を下げる施策」のように範囲を限定すると、各視点からの問いが立てやすくなります。

それでも行き詰まる場合は、ラテラルシンキングの技法を併用して視点を変えるのも一案です。ラテラルシンキングの基本とトレーニング方法については、関連記事『ラテラルシンキングとは?』で詳しく解説しています。

まとめ

SCAMPER法で成果を引き出すポイントは、クラウドストレージサービスの改善例や企画会議の失敗例が示すように、テーマを具体的に絞り込み、7つの視点を均等に回し、発散と収束を明確に分けるという流れにあります。

まずは身近な業務や担当プロジェクトを1つ選び、7つの視点で各2問ずつ、合計14個の問いを書き出すことから始めてみてください。初めの1週間は1日1視点ずつ試すだけでも、発想の引き出しが確実に増えていきます。

小さな実践を積み重ねることで、「アイデアが出ない」という壁を越え、企画や提案の場面で自信を持って発言できる力が身についていきます。7つの問いを味方につけて、日々の業務に新しい視点を持ち込んでみてください。



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